コスモス


コスモスが揺れている
湾岸道路沿いのコスモスが
１０月の潮風に揺れている


やっと涼しくなったので
朝からバイクを整備してたんだ
近頃無気力な気持ちを元気づけたくて
ただただ気分転換のつもりで
開通したばかりの湾岸道路を
千葉から横浜まで飛ばしたいと思ってたんだ


海の香りのする
少し湿り気のある風が吹いていた
信号で停まると
分離帯のコスモスの群れが
東京湾から吹く風に揺れていた


アクセルを開けると
コスモスはずっとずっと
どこまでもどこまでも続いていて
僕はコスモスの群れの中を
風になって通り抜けて行けたんだ


秋の日の午後に
ナナハンの排気音と
エンジンの振動が心地よい


大きな川を渡った時に
そこが君の住む街だと気づいた

君はこの街のどこかで
洗濯をしたり
掃除をしたり
それとも音楽を聴きながら
小説でも読んでいるのかな･･･


そんなことをふと考えてたら
無性にせつなくなってアクセルを開けた
コスモスが風の中で揺れていた･･･


秋の日の午後
コスモスの花につつまれ
君への想いにいっぱいになって
僕はどこまでも走り続けた


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