午前零時


午前零時の横浜の
港の見える丘の上
君と二人で柵にもたれて
夜の海を眺めていた


船の灯りが
波にゆらゆら揺れて
僕の肩にもたれる君の
瞳の中できらきら輝いていた


君は子猫のように柔らかくて
船の汽笛が遠く流れたとき
僕はそっと抱きしめた



あれからもう一年
何もかも想い出の僕だけれど
この僕の人生の中で
君と出逢ったあの初夏の一日は
大きな意味となっている



(昭和55年8月）


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